序章人里遠く離れた険しい山の奥深く 泉のほとりに慎ましく 何千年にたった一度だけ 光り輝く可憐な黄金色の花びらを開き 恍惚の香りを漂わせ ひっそりと咲き誇る花の事を 人々は酔中花と呼ぶ 未だ誰も見た者はないという
しかし 真相は 人里近くのどこにでもある山の中 泉のほとりに慎ましく 何千年もの昔から 可憐な無色透明の花びらを開き あたり一面に 何とも言えない微かな香りを漂わせ ひっそりと咲き続ける花の事を 酔中花という 今までに何人かの人間が その花を見る事ができた が 花は何も知らずに ただ無心に咲いているだけであった 今もなお永遠に咲き続けている
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