酔雲庵


酔中花

井野酔雲







序章





人里遠く離れた険しい山の奥深く

泉のほとりに慎ましく

何千年にたった一度だけ

光り輝く可憐な黄金色の花びらを開き

恍惚の香りを漂わせ

ひっそりと咲き誇る花の事を

人々は酔中花と呼ぶ

未だ誰も見た者はないという




しかし 真相は

人里近くのどこにでもある山の中

泉のほとりに慎ましく

何千年もの昔から

可憐な無色透明の花びらを開き

あたり一面に

何とも言えない微かな香りを漂わせ

ひっそりと咲き続ける花の事を

酔中花という

今までに何人かの人間が

その花を見る事ができた

が 花は何も知らずに

ただ無心に咲いているだけであった

今もなお永遠に咲き続けている







バブルグラス入りバラのアレンジライトブルーローズプリザーブドフラワー




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