「第三部、本願寺蓮如」は愛洲移香斎の師匠、風眼坊が昔の仲間だった火乱坊に誘われて加賀の国へと行き、本願寺の法主である蓮如上人と出会い、本願寺の最初の一揆に巻き込まれて活躍する話です。 |
目次
1.蓮如1 | 「南無阿弥陀仏‥‥‥」風眼坊は雨を眺めながら、独り呟いた。 |
2.蓮如2 | 風眼坊と信証坊、慶聞坊の三人は崩れ掛けた炭焼き小屋で雨宿りをしていた。 |
3.蓮崇 | 蓮如が吉崎の地に本願寺別院を建てたのは、三年前の文明三年の五月の事だった。 |
4.一乗谷1 | 朝から蝉がやかましく鳴いていた。和田の本覚寺から朝倉の本拠地、一乗谷はすぐ側だった。 |
5.一乗谷2 | 加賀屋の女将はかなりの年配だったが、上品な色気の漂う女だった。 |
6.お雪1 | 昨日の晩は崩川の河原の側にあった地蔵堂で休んだが、追っ手は来なかった。 |
7.お雪2 | お雪はずっと俯いたままで、一言も喋らなかった。 |
8.笛の音 | 下界は物凄く暑かった。もう一度、山の中に入って、思い切り滝を浴びたい気分だった。 |
9.松岡寺1 | 吉崎御坊の城塞化は、日を追って進んで行った。 |
10.松岡寺2 | 山田光教寺より東へ一里程行くと、柴山潟と呼ばれる湖に出る。 |
11.本泉寺 | 山のあちこちで萩の花が咲き、つくつく法師が鳴いている。もう、秋になっていた。 |
12.小野屋1 | 懐かしかった。飯道山の山頂を風眼坊は感慨深げに眺めていた。 |
13.小野屋2 | 風眼坊は姿勢を改め、奈美に武器の事を話した。 |
14.蓮台寺城1 | 紅葉の映える山の中を風眼坊は休む暇もなく、本泉寺に向かっていた。 |
15.蓮台寺城2 | 文明六年十月十四日の未明、本願寺門徒による蓮台寺城の総攻撃が始まった。 |
16.大河内庄 | 播磨の国と但馬の国の国境辺りの山の中を黙黙と歩く山伏の一行があった。 |
17.早雲庵 | 駿河の国は今川氏のお陰で、戦場になる事もなく、平和な毎日が続いていた。 |
18.加賀の春 | 何事もなかったかのように、例年のように雪に覆われた北国の冬だった。 |
19.雪溶け1 | 静かだった吉崎御坊も雪溶けと共に参詣者の数も徐々に増えて行き、賑やかになって行った。 |
20.雪溶け2 | 露天風呂に入っていた娘たちは、武装した兵が続々と出て来るのを見て身動きができなかった。 |
21.桜咲く1 | 桜の木の下には、武装したまま疲れ切った顔の門徒たちの顔が並んでいた。 |
22.桜咲く2 | のんきに花見をしている門徒たちを横目で見ながら、慶覚坊は御山に向かって急いだ。 |
23.五月雨1 | 陽気に誘われて、どこかに行きたくてイライラしている男が吉崎にいた。 |
24.五月雨2 | 蓮如は慶聞坊を連れて、毎日、山に入って、庭石と植木を捜し回っていた。 |
25.庭園1 | 慶覚坊は起き上がると薙刀を手にして、広縁に出て外の様子を眺めた。 |
26.庭園2 | 蓮如の造った庭園を眺め、極楽浄土とはこのような所か、と皆、感心していた。 |
27.定地坊 | 軽海の城下町にある旅籠屋の離れで、定地坊は若い女と昼間から酒を飲んでいた。 |
28.噂 | 朝早く、蓮綱は支度をすると、二人の部下を連れて、朝靄の立ち込める中、吉崎に向かった。 |
29.吉崎退去1 | 吉崎は厳重に警固され、武装した門徒の数は増えていたが、不気味な程、静かだった。 |
30.吉崎退去2 | 船の中から、皆、黙って、川向こうに浮かぶ御山を見つめていた。 |
31.再会1 | 風眼坊たち一行は飯道山の裾野を回って、飯道山の門前町へと入った。 |
32.再会2 | 蓮崇は風眼坊を見つめていた。その顔は何かを決心したかのように感じられた。 |
33.百合と千太郎1 | 完成したばかりの太郎の屋敷の常御殿の一室で、松恵尼と楓が楽しそうに話していた。 |
34.百合と千太郎2 | 風の音を聞きながら、薄暗い月影楼の屋根裏部屋で、太郎は座り込んでいた。 |
35.再会その2 | 岩の上に天狗が座っていた。幻でも見ているのだろうかと早雲は目をこすった。 |
文末地図 | 1.光教寺 2.本泉寺、松岡寺 3.吉崎御坊 4.一乗谷 5.一乗谷 7.九谷 8.蓮台寺城 9.吉崎御坊、光教寺 10.本蓮寺、松岡寺 11.円光寺、善福寺 12.飯道山、花養院 14.本泉寺 15.蓮台寺城 16.大河内城下 17.早雲庵、鹿島神宮 18.野々市、安吉屋敷 19.湯湧谷 20.善福寺、倉月庄 21.瑞泉寺 22.軽海、松任城 23.河合屋敷 24.善福寺 25.聖安寺 26.本泉寺、専光寺 27.浄徳寺 28.顕証寺、上宮寺 29.本覚寺、超勝寺 33.大河内城下 34.望月屋敷 |