酔雲庵

藤吉郎伝―若き日の豊臣秀吉

井野酔雲





6.生駒屋敷




「あれが生駒殿のお屋敷じゃ」と与三郎が指を差した。

 枯れ野の中に大きな建物が見えて来た。土塁に囲まれた、その屋敷には物見(やぐら)まであり、まるで、城のようだった。

「すげえなあ」と藤吉郎は思わず、叫んだ。

「確かに凄い。御主人様は蔵人(くろうど)殿といってな、灰と油を商う商人じゃ。馬や船を使って荷物の運送もやっている。かと言って、ただの商人でもない。武士として岩倉や犬山にも出入りしている不思議なお人じゃ」

 屋敷へと向かう通りの右側に広い馬場があり、侍とも人足(にんそく)とも区別のつかない男たちが、大声で叫びながら馬を乗り回していた。

「あれは人足ですか」と藤吉郎は聞いた。

「そうじゃ。いや、浪人者もおるようじゃな。蔵人殿は徳のあるお人で、各地から集まって来る浪人たちの面倒もみておられるんじゃ。ほれ、あそこに見えるうちはな、浪人たちが勝手に寝泊まりしてもいいという長屋じゃ」

 与三郎は左手に見える家を指で示した。草むらの中にポツンと一軒の家が建っている。その家は藤吉郎の家よりも大きく、二人の浪人が縁側で話し込んでいるのが見えた。

「誰が泊まっても構わないんですか」

「ああ、構わん。お前があそこに泊まり込んでも誰も文句は言うまい」

「へえ‥‥‥」

 屋敷は水をたたえた幅広い堀と高い土塁に囲まれ、土塁の上の物見櫓から弓を持った侍が藤吉郎たちを見下ろしている。立派な門の前には太い棒を構えた仁王(におう)のような大男が二人、怖い顔をして立っていた。

 与三郎は恐れる事なく門番に近づくと何事かを言った。門番は急に笑顔になり、二人を中に入れてくれた。

 土塁の中は広々としていた。侍たちが武芸の稽古に励んでいる。右奥の方で弓矢の稽古、その手前で槍や剣の稽古をしていた。正面に中門らしきものが見え、その向こうに大きな屋敷があるようだった。

 与三郎は真っすぐ進まずに左側にある塀の中に入って行った。塀の中には大きな(うまや)と侍長屋があった。そして、奥の方に屋敷があった。

「蔵人殿の伜、八右衛門殿のお屋敷じゃ」と与三郎は奥の屋敷を示した。

「ここは二の曲輪(くるわ)でな、奥に本曲輪があって、蔵人殿のお屋敷があるんじゃ。そして、東の方に三の曲輪がある。そこには船着き場があって、人足たちが大勢、働いておる」

 与三郎が屋敷に声を掛けると、八右衛門が縁側に顔を出した。

「おう、与三郎殿か。毎日、寒いのう。何か、収穫はあったか」

 八右衛門は商人には見えなかった。髭面で毛皮を着込み、まるで山賊の親玉のようだ。どう考えても、この屋敷の主とは思えない。

 八右衛門はギョロッとした目で藤吉郎を眺め、「ほう、土産を持って来たようじゃのう」と太い声で言った。

「はい、面白い奴での、織田備後守を討つと言っておる」

「なに、備後守をか」

「親父の仇だそうじゃ」

「ほう‥‥‥確かに、面白え面構えじゃな」

 二人は井戸で手足を洗うと屋敷に上がった。

「小僧、どうやって備後守を討つもりじゃ」と八右衛門は髭を撫でながら聞いた。

「鉄砲で撃ちます」と藤吉郎は鉄砲を構えて撃つ真似をした。

 八右衛門は藤吉郎の仕草に驚き、改めて、藤吉郎を眺めた。

「小僧、鉄砲を撃った事があるのか」

 藤吉郎は両手を広げて、首を振った。

「こいつの伯父さんが、ここで鉄砲鍛冶をしているらしいの」と与三郎が説明した。

「なに、本当か」

 藤吉郎は力強く、うなづいた。「清須にいた孫次郎っていう鍛冶師なんだ」

「おう、孫次なら確かに、ここにおる。お前が孫次の甥御なのか‥‥‥うーむ、面はあまり似てねえのう」

「似てなくても伯父さんだい」

「そうか、そう怒るな」

「伯父さんから鉄砲を習って備後守を撃つんだ」

「成程」

「鉄砲はできたのですか」と与三郎は聞いた。

 八右衛門は首を振った。「孫次は腕のいい職人だが、鉄砲作りはなかなか難しいようじゃ」

「そうじゃろうの」

 藤吉郎は八右衛門の家来(けらい)に連れられて、伯父の仕事場に行った。

 仕事場は屋敷の西の森の中にあった。

 孫次郎は暑苦しい小屋の中で、若い職人を使って鉄砲作りに励んでいた。藤吉郎が名を名乗ると孫次郎はジロッと睨み、「何の用じゃ」とそっけなく聞いた。

「ええと、鉄砲の撃ち方を習いたくて、やって来ました」と藤吉郎は姿勢を正して答えた。

「わしゃ鉄砲を作ってるがな、撃ち方など知らねえわ。おめえは兄貴の所にいたらしいが、三ケ月で弱音を吐いて、逃げ出したそうじゃの。その後もあっち行ったり、こっち行ったりしたが、どこも長続きしねえ。あげくにゃ、職人は向いてねえから商人になるんだと言ったんじゃねえんか。今度は鉄砲撃ちになるんか。やめた方がええ。どうせ、長続きせん」

「伯父さん、俺、本当のお父の仇を討たなけりゃなんないんだ。それには、どうしても、鉄砲を習わなけりゃなんないんだ」

「お父の仇討ちじゃと? ふざけた事をぬかすんじゃねえ、寝ぼけてんのか」

「寝ぼけてなんかないやい。俺は本気だ」

「ふん。おめえのような半端者(はんぱもん)に何ができる、馬鹿者が」

 孫次郎は怖い顔して藤吉郎を睨むと、戸をバタンと閉めて小屋の中に入ってしまった。

 藤吉郎は途方に暮れた。大声で泣き出したい心境だった。フラフラとその場を離れようとすると若い職人が声をかけて来た。

「今、親方は機嫌が悪いんだよ。しばらく経ってから、もう一度、話した方がいい」

 若い職人は藤吉郎の肩をポンと叩いて、「大丈夫だ」とうなづいて笑った。

 藤吉郎は若い職人の笑顔を信じて八右衛門の屋敷に戻った。しかし、八右衛門も与三郎も共にどこかに出掛けてしまっていなかった。二人がいないのに屋敷に留まるわけにもいかず、トボトボと門を出た。

 さて、これからどうしよう、と堀に架かる橋の上にたたずんでいると、与三郎が言っていた浪人長屋が目に入った。あの長屋は誰が泊まっても構わないと与三郎は言っていた。藤吉郎は興味を持って、行ってみる事にした。

 (ほお)に刀傷のある浪人が大きな鼾をかいて、縁側で大の字になって昼寝していた。藤吉郎が近づくと刀を手にして急にガバッと跳ね起きた。藤吉郎はビクッとして、後ろに跳びはねた。浪人は藤吉郎をしばらく、じっと睨んでいたが何も言わず、また横になってしまった。ホッと胸を撫で下ろしてから藤吉郎は首を傾げ、長屋の中を覗いた。人相のあまりよくない浪人が五、六人、賭け事に熱中しているようだった。訳のわからない事をわめきながら、真剣な顔をしてサイコロを振っている。その向こうではニヤニヤしながら書物を読んでいる太った浪人が腹をボリボリ掻いている。

 藤吉郎は寝ている浪人の横を通って、長屋の入り口から中を覗いた。薄暗い広い土間にたすき掛けをした浪人がカマドの前で飯を炊いている。藤吉郎は美味そうな匂いに誘われて土間に入ると浪人に声を掛けた。

「おじさん、針はいらないかい」

 立派な口髭の浪人はポカンとした顔をして藤吉郎を見ると、「今、何と申した」と聞いて来た。

「針はいらないかって言ったんだ」

「お前、アホか。わしが針など買うと思うのか」

 藤吉郎は肩をすぼめて首を振った。

「でも、俺、針しか持ってないんだ。おじさん、針とその飯を交換しないかい」

「小僧、腹が減ってるのか」

 藤吉郎はうなづいた。

「どっから来た」

「那古野」

「那古野から何しにここに来た」

「鉄砲を習おうと思ったんだ」

「何じゃ、鉄砲じゃと? 針売りの小僧が鉄砲を習うじゃと」

 浪人は大笑いした。

「お前はやっぱり、アホじゃな」

 鉄砲を習って父親の仇を討つんだと説明しても浪人は信じてくれなかった。信じてくれなかったが飯を食わせてくれた。

 口髭の浪人は加賀の国(石川県南部)から流れて来て、もう十五年余りもここに厄介(やっかい)になっているという。

「えっ、十五年もここにいるの」と藤吉郎は思わず聞いた。十五年と言えば、藤吉郎が生まれた頃からずっと、ここにいるという事になる。とても信じられなかった。

「まあ、そうじゃ」と浪人は何でもない事のように答えた。

「十五年もここにいたら、ここの(ぬし)だね、でも、ここで何をしてたの」

 藤吉郎の見た所、それ程、強そうには見えないが、兵法(ひょうほう)指南役として、ここの侍たちに武芸を教えているとの事だった。

「武芸を教えるような人がどうして、飯の支度なんかしてるの」

「ここにいる連中はの、ろくに飯も炊けんのじゃ。半生だったり、黒焦げだったりしてな、まずい飯など食いたくないからの。仕方なく、わしがやってるんじゃよ」

「女の人に頼めばいいのに」

「恐ろしがって、女子(おなご)は誰もここには近づかんのじゃ」

「成程」と藤吉郎も納得した。

 藤吉郎は腹ごしらえを済ますと富樫惣兵衛と名乗る兵法指南役にお礼を言って、また、伯父のいる鍛冶小屋に戻った。

 恐る恐る小屋を覗くと、ばったり伯父と目が合ってしまった。藤吉郎が慌てて逃げ出すと伯父が声を掛けて来た。

「おい、おめえ、中村の藤吉じゃねえのか。どうして、こんな所にいるんじゃ」

 まるで、初めて会ったような口振りだった。藤吉郎は振り返って伯父の顔を見た。伯父はニコニコしていた。

「よう来たのう。おっ母は元気か」

 さっきから一時(いっとき)(二時間)と経っていないのに、伯父の機嫌はすっかりよくなっていた。どうなってんだと思いながら藤吉郎は伯父の側まで行った。若い職人は、よかったなと言うように笑っていた。伯父は自慢気に作りかけの鉄砲を見せてくれた。

「あと、もう少しじゃ」と言いながら鉄砲の構え方を教えてくれた。

 未完成の鉄砲だったが、藤吉郎はわくわくしながら鉄砲を構えた。那古野の馬場にいた上総介になったような気分だった。

「バーン、バーン」と何度も大声で叫びながら鉄砲を撃つ真似をした。

 藤吉郎はその晩、伯父の家に行き、家族の者たちに歓迎された。伯父の家は仕事場からちょっと離れた所にあり、建てたばかりの新しい家だった。愛想のいい太ったおかみさんとおかみさんにそっくりな十歳の娘、そして、鼻水を垂らした六歳の男の子がいた。従弟たちに会うのは初めてだったが、すぐに慣れ、一緒に遊ぼうと藤吉郎を誘った。

 次の朝早く、藤吉郎は伯父にたたき起こされ、仕事場に連れて行かれ、有無を言わせずに雑用をやらされた。仕事中の伯父は人が変わったかのように不機嫌だった。藤吉郎が何を言っても上の空で、ただ、鉄砲を作る事のみに集中していた。そして、仕事が終わると人格が変わったかのように優しくなった。

 仕事が終わった後、藤吉郎は、「俺は鍛冶師の修行に来たんじゃなくて、鉄砲の撃ち方を習いに来たんです」と恐る恐る、きっぱりと言った。

 伯父が怒るのを覚悟の上で言ったのだが、「そうか、そうか。これからの(いくさ)は鉄砲じゃ。今のうちに習っておいた方がいい」と理解を示してくれた。ところが、次の日になると、また、朝早くから雑用をやらされ、鉄砲の撃ち方など全然、教えてくれなかった。源助という若い職人が、もう少しで鉄砲が完成する。鉄砲ができれば撃つ事もできる。もう少しの辛抱だと言ったため、藤吉郎は何とか我慢する事にした。

 その年は暮れ、正月になった。十五歳になった藤吉郎は伯父の家族と共に生駒家の正月の行事に加わった。

 生駒家の正月は華やかで賑やかだった。太夫(たゆう)様と呼ばれているだけあって、何もかもが派手で豪勢だった。広い馬場に豪華な料理をずらりと並べ、来る者は拒まずといった具合に大勢の者たちを呼んで、飲めや歌えと三日間も騒いでいた。馬場には各地から集まって来た商人たちが露店を広げ、舞台の上では旅芸人たちが様々な芸を披露し、生駒家の侍や人足は勿論の事、居候(いそうろう)の浪人たち、近所の村人たち、どこから来たのか乞食や浮浪児、遊女たちまでが一緒になって騒いでいた。

 藤吉郎は今まで見た事もない料理を目の前にして、毎日、手当たり次第に腹に詰め込んでいた。酒も飲み放題で、伯父の孫次郎は仕事の事も忘れて、始終、機嫌がよかった。毎日、酔っ払っては岩倉から来た遊女のもとに通っていた。かなりの年増で、決して美しいとは言えないけれど、伯父は鼻の下を伸ばして、毎日、嬉しそうだった。伯父の機嫌はよかったが、代わりに、おかみさんの機嫌は悪かった。恐ろしい顔をして、伯父をちゃんと見張っていろと命じた。藤吉郎も男として、この時は伯父の味方をした。

 食っては踊り、食っては踊りの三日間は、夢のような日々で、藤吉郎はここに来て本当によかったと思っていた。

 三箇日が過ぎるとまた、伯父の機嫌は悪くなり、退屈な雑用仕事の毎日が始まった。

「あと、もう少し‥‥あと、もう少し‥‥」と伯父は口癖のように言っているが、鉄砲はいつまで経っても完成しなかった。つまらない毎日にうんざりしている時、伯父を訪ねて来た者があった。

 鉄砲を背負い、毛皮を着込み、革袴をはいた黒づくめのかぶき者だった。こんな所にも、かぶき者がいるのかと藤吉郎は驚き、そのカッコよさに見とれた。

 かぶき者は黒鹿毛(くろかげ)の馬で乗り付けると、「鉄砲はできたか」と小屋の中にズカズカと入って来た。後を追うようにして、派手ななりをしたかぶき者が入って来たが、なんと、そのかぶき者は女だった。刀を背負い、花柄模様の陣羽織に白い革袴を身に付け、(むち)を手にした女は小屋の中を珍しそうに眺め回した。

 藤吉郎はその女を見て、姉ちゃんそっくりだと思った。着ている物は全然違うが、男まさりなその仕草はそっくりだった。こんな女が姉の他にもいたのかと何だか嬉しくなった。

 伯父は二人のかぶき者をチラッと見たが返事もせず、仕事を続けていた。

「その面じゃ、まだのようだな」と男のかぶき者は言って小屋の中を見回してから、藤吉郎の顔を覗き込んだ。

「ほう。小僧、面白え面をしておるのう」と言って腹を抱えて笑った。

「あら、お猿じゃないの。でも、可愛いじゃない」と女のかぶき者は言って、藤吉郎の頬をそっと撫でて、ニコッと笑った。男の格好をしていても綺麗な姉さんだった。

「鉄砲を作る猿か、こいつは面白え‥‥‥しかし、猿真似では役に立たんわ」

 二人は笑いながら小屋から出て行った。

「何者です」と藤吉郎は源助に聞いた。

「蜂須賀小六殿といって鉄砲の名人じゃよ」

「えっ、鉄砲の名人‥‥‥女の方も?」

「女は小六殿の妹じゃ。鉄砲の名人かどうかは知らんが、武芸の達人には違いない。あれ程の別嬪(べっぴん)、男どもが黙ってはおらんが、自分よりも弱い男には見向きもせんとの評判じゃ」

 藤吉郎はすぐに小六とその妹の後を追った。二人は馬に乗って駈けて行ったが、必死になって追いかけた。

 二人は馬場に入って行った。馬場に小六の仲間らしいかぶき者が五、六人、何事か、わめきながら馬を乗り回していた。皆、乗馬が達者で、曲芸師のように馬を乗りこなしていた。

 藤吉郎は息を切らせて小六に追いつくと、「お願いします。鉄砲を教えて下さい」と大声で叫んだ。

 小六の仲間の一人が弓を振り回しながら、「なんじゃ、こいつは」と馬上から言った。

「鍛冶小屋にいたお猿さんよ」と小六の妹が言った。

「おう、そういや、猿そのものじゃな。猿が鉄砲を撃つのか。そいつは面白え」と妹の隣にいる男が言った。

 小六たちは藤吉郎を見て、大笑いした。

「俺は木下藤吉郎だい。猿なんかじゃない」

「小僧、おめえ、侍の子か」

「お父は弓矢の名人だったんだ」

「ほう、大したもんじゃ。弓矢で鳥でも落としたのか」と小六は鼻で笑った。

「おい、小僧、親父の名は何と言う」と小六の後ろにいた男が顔を出した。

「木下弥右衛門だ」

「木下弥右衛門‥‥‥」

「小太郎、おめえ、知ってるのか」と小六が聞いた。

「いや、知らん。ただ、どっかで聞いた事あるような気がする」

 小太郎と呼ばれた男は腕を組みながら遠くを見つめていた。その背中には、小六と同じく鉄砲があった。

「お父は有名なんだ」と藤吉郎はみんなに自慢した。

「猿、おめえも有名になる事じゃな」と言うと小六は馬の腹を蹴った。

 黒づくめの小六は黒い馬に乗って稲妻のように走り去った。小六を追うようにして妹が続き、仲間たちも騒ぎながら馬場から出て行った。

 藤吉郎は後を追いながら、「鉄砲を教えて」と叫んだが返事は帰って来なかった。

 藤吉郎はいつまでも馬の後を追いかけた。が、所詮、馬には勝てず、途中で見失ってしまった。気がつくと原野の中にポツンと立っていた。必死になって馬を追いかけて来たので、生駒屋敷へ帰る道もわからない。藤吉郎は大きく溜め息をつくと空を見上げた。

 まだ、日は高かった。

 汗を拭くと、その場に寝転がって考えた。

 生駒屋敷に戻るか。いや、帰ってもしょうがない。伯父の所にいても鉄砲を教えてくれそうもない。それなら、小六を訪ねて行った方がよさそうだ。小六のうちはわからないが、鉄砲の名人というからには人に聞けばわかるだろう。

 藤吉郎はそうと決めると馬の足跡を追って、のんびりと歩き出した。






生駒屋敷跡



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