第三部
3.波平
千恵子たちは朝日を浴びながら西へと向かっていた。 「真壁の近くには砲兵隊の陣地があるから、いつまでも、ここにいるのは危険だぞ」と高橋伍長は言った。 あの民家に戻っても、すでに、千恵子たちの休む場所はないに違いない。別の村に行って新しいねぐらを捜さなければならなかった。千恵子たちは高橋伍長と西村上等兵と一緒に 今後、治療活動を続けるためには衛生材料を補充しなければならなかった。どうしようと考えた結果、古波蔵看護婦の顔が浮かんだ。古波蔵看護婦なら何とかしてくれるに違いない。もしかしたら、千恵子たちに賛同して一緒に活動してくれるかもしれない。糸洲には山部隊の第二野戦病院があると聞いていた。そこにいるに違いないと千恵子たちは糸洲に向かった。 糸洲に向かう途中、敵機は上空を飛び回っていたので隠れながら行ったが、機銃を撃つ事も爆弾を落とす事もなく助かった。艦砲も真壁や真栄平の方に落ちているようで、糸洲に近づくに従って、炸裂音も遠ざかって行った。 「ねえ、見て、畑に野菜がいっぱいある」と留美が嬉しそうに言った。 キャベツやニンジン、サツマイモやサトウキビもいっぱいあった。どれも皆、他人の物なのだが、千恵子たちは自分たちの物のように喜んだ。 「あんな所に小屋があるわよ」と朋美が言って指さした。 畑の中にポツンと一軒だけ立っている。その向こうに部落が見えた。 「ちょっと行ってみようか」と朋美は初江を誘って走り出した。千恵子とトヨ子も後を追った。 小屋には誰もいなかったし、何もなかった。三 昨日と同じように六人づつ二組に分け、炊事班と治療班とした。千恵子たちは昨日、炊事班だったので、今日は治療班として糸洲の山部隊の第二野戦病院を捜し出して、古波蔵看護婦を見つけ、衛生材料を手に入れようという事になった。炊事班は小屋に残って、水汲みや食糧集めをする事になった。解散前に支給されたお米も残り少なくなっていた。お米を調達するのは難しいけど何とかしなければならなかった。 高橋伍長と西村上等兵は本隊を捜しながら、食糧の事も調べて来ると言って出掛けて行った。どこかに必ず、軍隊の食糧が隠してあるはずだと言っていた。 千恵子たちはまず部落に行ってみた。驚いた事に、ほとんどの民家がまだ被害を受けていなかった。住民たちはどこかに避難しているのか姿が見えず、どこの民家にも避難民や負傷した兵隊が四、五人づつ入っていた。避難民に聞いても知らないだろうから負傷兵たちに山部隊の第二野戦病院の事を聞いてみた。 「さあ、聞いた事ないねえ」と一人の負傷兵は首を振った。「 「えっ、陸軍病院が近くにあるんですか」と千恵子は聞いた。南風原から南に撤退したとは聞いたけど、まさか、こんな所にいるなんて思ってもいなかった。姉や浩子おばさんに会えるかもしれないと嬉しさで心が浮き浮きしてきた。 「ああ。上原婦長殿が時々、治療に来てくれるからな」 上原婦長というのは聞き覚えがあった。確か、浩子おばさんの上役だったような気がする。 「山部隊の野戦病院は糸洲じゃないのか」と別の負傷兵が言った。 「そうです。糸洲なんです。この村のどこかにあるはずなんです」とトヨ子が言った。 「ここは 「えっ」と千恵子たちは驚いて、顔を見合わせた。 負傷兵たちに糸洲へ行く道を教わって、千恵子たちは糸洲に向かった。どこかでヤギが鳴いていた。 「ヤギがいるわ」と千恵子たちは顔を見合わせて笑った。戦争中だというのに、のどかに鳴いているのがおかしかった。 畑の中の道を行くとすぐ糸洲の部落に入った。ここもほとんどの民家は無事だったが、いくつか艦砲にやられていた。そして、無事な民家にはやはり負傷兵や避難民が入っていた。負傷兵に聞いてみたら、陸軍病院は近くにあるが、山部隊の野戦病院は知らないと言った。 陸軍病院は隣の波平にもあって、ここにもあるのかと思いながら、教えてもらった場所に向かった。途中、水を運んでいる四人の女学生と出会った。話をしてみると師範学校女子部の生徒だった。本科生らしく、千恵子たちよりも年上だった。やはり、山部隊の野戦病院の事は知らなかった。でも、衛生兵の人たちなら知っているかもしれないというので一緒に行く事にした。 小百合は郷里の先輩の事を聞いていた。千恵子も 「陽子なら 千恵子は驚いて、「二年生も陸軍病院に入ったんですか」と聞き直した。 「そうなのよ。一応、卒業式はしたんだけどね、引き続き、看護婦として働く事になったのよ」 「波平が第一外科で、ここは何なのですか」 「ここは第二外科よ。第三外科もあって、伊原の方にあるわ」 「そうなんですか。あの、どこかに美里浩子っていう看護婦さん、います?」 「ええ、いるわよ」と言いながら本科生は千恵子の胸の名札を見た。 「あたしの叔母なんです」と千恵子は説明した。 「ああ、そうなの。美里さんは波平の第一外科にいるはずよ。そういえば、陽子の親戚だとか言ってたわね」 「そうですか。ありがとうございます」 まるで、夢を見ているようだった。浩おばちゃんがすぐ側にいる。すぐにでも飛んで行きたい気分だった。第一外科の場所を詳しく聞くと波平部落の南の方の丘にある壕だという。千恵子たちの小屋は部落の北側だから、まるで正反対だった。でも、それほど遠くないはずだった。ついでに、姉の事も聞いてみたが、知らないと首を振った。 「第二外科にはいないし、第一外科にも美里っていう看護婦さんは一人しかいないと思ったわ」 「そうですか」とがっかりしたけど、姉が伝染病科にいる事を思い出した。その事を言うと、 「それなら第三外科よ」と答えが返って来た。「外科の患者さんが多くなったので、内科が第二外科に、伝染病科は第三外科になったのよ」 「第三外科は伊原って言いましたよね。そこもこの近くなんですか」 「ちょっと離れてるわね。波平の南の方に伊原はあるんだけど、第三外科壕は伊原の外れの方にあるのよ」 千恵子はお礼を言いながら胸の名札を見た。安村菊子と書いてあった。陽子はずっと寄宿舎に入っていたので友達の事を聞いた事はないけど、きっと友達に違いないと思った。 千恵子が姉や叔母、従姉の消息を知って喜んでいるように、他の五人も郷里の先輩や幼なじみの消息を知って喜んでいた。 陸軍病院の第二外科は雑木林の中にある自然洞窟だった。洞窟の手前にある壊れた民家の石垣の所まで行くと、「ここでちょっと待ってて」と安村さんは言った。「壕の入口辺りでウロウロしていると衛生兵がうるさいのよ」 千恵子たちもそれ位の事は知っていたけど、ただうなづいて、木陰に隠れた。安村さんたちは汲んだ水を持って穴の中に入って行った。 かなり大きな自然洞窟のようだった。どうせ、ここも部落の住民たちを追い出したのだろうと思うと悲しかった。 「 名城先輩は千恵子の姉と同い年で、千恵子たちの幼なじみだった。 「ほんと」と喜びながら、千恵子は姉や叔母の事を話した。 いいわねえと皆、 しばらくして、安村さんが看護婦さんと生徒二人を連れて戻って来た。生徒の一人は紛れもなく名城先輩だった。初江が嬉しそうに、「先輩」と声を掛けた。もう一人の生徒は聡子の友達らしく、「マーちゃん」と声を掛けていて、看護婦さんは小百合の同郷の先輩らしく、「崎山先輩」と声を掛けていた。 「ハッちゃんにチーちゃんじゃない。こんな所で会えるなんて」と名城先輩は嬉しそうに二人を見た。 「わかったわよ」と安村さんが千恵子に言った。「ここの診療主任の 「あの山の向こうですか」 「向こうの方に細い道があって、そこを行くと向こう側に出られるって言ってたわ。どうして、そんな事を知ってるのか不思議なんだけど、目軍医殿って何でも知ってるの。それとね、婦長さんに聞いたら、第三外科にも美里さんていう看護婦さん、いるそうよ。第一外科の美里さんの 「はい。そうなんです」 「そう。あなたが行ったら二人とも喜ぶわよ」 「はい。色々とありがとうございました」 安村さんは落ち着いていて、しっかりした人だった。きっと、素晴らしい先生になるだろうと思った。 千恵子たちは四人に別れを告げて、山道へと向かった。うっそうと生い茂る樹木の中を歩きながら、千恵子は八重瀬岳を思い出した。初めてあそこに行った時も樹木がうっそうと生い茂っていた。でも、千恵子たちが去る時、樹木は一本もないハゲ山になってしまった。ここもそうなってしまうのだろうかと恐ろしくなった。それほど高い山ではないので、すぐに越えられた。畑の中の一本道が続いている向こうに集落が見えた。 「あれが伊敷かしら」と悦子が言った。「糸洲と伊敷の丁度、中間ていったら、あの辺かしらねえ」 あの辺かしらと言っても、どこにあるのか見当もつかなかった。 「誰かに聞くしかないわね」とトヨ子が言ったが、見渡した所、人影はどこにもなかった。 ここにも艦砲弾は落ちたとみえて、畑の所々に大きな穴があいて泥水が溜まっていた。 「さっきの壕みたいに雑木林の中にあるのかしら」と聡子が言った。 「畑の中にポッカリと穴があいてるのかもしれないわよ」と初江は言った。 手分けして捜そうという事になり、二人づつ三組に分かれた。千恵子はトヨ子と組んで、右側の畑の中を捜し、悦子と聡子は道の周辺を捜し、初江と小百合は左側の畑の中を捜した。 「ねえ、チーコ、古波蔵さんを見つけたら、陸軍病院の第三外科に行ってみない」とトヨ子が言った。 「えっ、第三外科にはお姉ちゃんがいるから行ってみたいけど、みんなに悪いわ。あたしだけ家族に会うなんて」 「そんな事、気にしなくたっていいのよ。第三外科にいるのはチーコのお姉ちゃんだけじゃないのよ。さっき、聡子の友達から聞いたんだけど、一高女のバレーボール部の子がいるのよ。あたし、会いたいのよ」 「そうだったの」 「それに第一外科にも同じ町の先輩がいるらしいし。チーコみたいに家族はいないけど、きっと先輩や友達がいるから、みんなも行きたいって言うわよ。せっかく、近くにいるんだから、今のうちに会っておいた方がいいわ」 「そうね。ここも八重瀬岳みたいにひどくなるのかしら」 「多分、なると思うわ。兵隊さんや避難民たちがみんな、こっちに来たんだもの。敵だって追って来るわよ。その前に友軍の総攻撃があれば別だけど」 「いつあるのかしら」 「わからないけど、きっと、あるわよ」 「そうね」 千恵子は左の方を見た。悦子と聡子がキョロキョロしながら道を歩いていた。その向こうを初江と小百合が歩いている。まだ見つからないようだった。千恵子は何げなく腕時計を見た。十時半を過ぎた頃で日差しが強かった。千恵子が汗を拭きながら空を見上げた時、北の方からブーンという爆音が聞こえて来た。いつ聞いても、いやな音だった。 「危ない」と叫びながら、千恵子とトヨ子は近くにあった木陰に飛び込んだ。道にいた悦子と聡子は隠れる場所を捜しておろおろしている。 飛んで来たのはトンボではなかった。二機の戦闘機だった。 「早く隠れて!」と千恵子たちが叫ぶのと同時に、ダダダダダと機銃の音が鳴り響き、土煙が次々に舞い上がった。敵機はそのまま南の方へ飛び去って行った。道の方を見ると悦子と聡子が倒れていた。千恵子とトヨ子は二人の名前を叫びながら走り寄った。 道と畑の間にある溝の中に落ちていた聡子は無事だった。初江と小百合が飛んで来て悦子の具合を見ていた。転んだ時、腕を打ったらしいが機銃には撃たれていなかった。 よかったとホッとしていると誰かが、「おーい、大丈夫か」と叫んでいた。振り返ると千恵子たちがとっさに隠れた木陰の辺りに兵隊が二人立っていて、こっちを見ていた。 「あそこだったんだわ」と千恵子たちは木陰の方に走った。 「あれ、君たちはうちの看護婦じゃないな」と衛生兵たちは驚いていた。 「はい。八重瀬岳にいた看護婦、長嶺トヨ子以下五名です」とトヨ子が気を付けをして言った。「山三四八六部隊(山部隊第一野戦病院)は六月四日に解散になりました。こちらに三四八六部隊の看護婦さんが来ていないでしょうか」 「いや」と衛生兵は首を振った。「衛生兵は何人か連絡のために来たが、看護婦は誰も来ていないぞ」 「そうですか‥‥‥」 千恵子たちは途方にくれた。お互いに顔を見合わせ、首を振ってうなだれた。可哀想だと思ったのか、一人の衛生兵が、「ちょっと、木陰に隠れて待ってろ」と言って壕の中へ入って行った。急な坂道が奥の方まで続いていて、かなり深そうな自然洞窟だった。 先程の衛生兵と一緒に顔を出したのは高森伍長だった。第二内務班の班長で、陸軍記念日の演芸会では司会をしていた。 「おう、君たちか」と高森伍長は千恵子たちを覚えていてくれた。 「みんな、元気だったか」とうなづきながら六人の顔を見回して、「八重瀬岳も大変だったらしいな」といたわるように言った。 「看護婦たちを捜しているらしいがここには来ない。国吉に行ったんじゃないのか」 「国吉の壕は狭くて皆を収容できないので、看護婦さんたちも解散になったようです」とトヨ子が言った。 「そうか。でも、婦長殿は本部と行動を共にしているはずだぞ。婦長殿に聞けばわかるんじゃないかな」 高森伍長に国吉の本部壕の場所を聞くと、ここから半里(約二キロ)位、北に行った所だという。行けない距離ではないが、昨日、米田軍曹に断った手前、今日になって、助けてくれと行きたくはなかった。高良婦長には会いたかったけど、古波蔵看護婦や古堅看護婦が国吉に行くとは思えなかった。 共に看護教育を受けた積徳高女の生徒たちの事を聞くと元気に勤務に励んでいるという。ここでは今も負傷兵の治療と看護を続けているようだった。 「気を付けて行けよ」と手を振った後、「何かあったらここに来い。まだ君たちが入る余地はあるぞ」と高森伍長は言った。 千恵子たちはお礼を言って別れた。上空に気を付けながら、来た道を戻って行った。 波平部落に入り、手ぶらでは帰れないから、何かを見つけて帰ろうという事になった。衛生材料はなくても、水筒や飯盒、ナベや空き缶でもいいから持って帰ろうと思った。でも、民家には必ず誰かが避難していて、自分の家でもないのに勝手に家捜しするのははばかられた。ある民家には負傷兵ではない兵隊たちが駐屯していて、千恵子たちが覗いていると、「貴様らは何をしている。スパイか」と怒鳴られた。 早く逃げようとしたら、トヨ子が逃げたら駄目よと注意した。逃げれば余計に怪しまれて撃たれるかもしれないと言う。確かにトヨ子の言う通りだった。 「野戦病院の看護婦です」とトヨ子は言った。「負傷兵がいないか見ておりました」 「何だ、そうか」と急に兵隊の顔は穏やかになった。「御苦労。治療はもう済んだよ。婦長殿なら、さっき、隣の家にいる負傷兵の所に行ったぞ」 何の事を言っているのかわからなかったが、「はい。ありがとうございました。すぐに婦長殿と合流します」とトヨ子は言った。 隣の民家に行ってみると確かに看護婦が六人、負傷兵の治療を行なっていた。その中に、浩子おばさんの姿を見つけた千恵子はあまりの驚きに、「あっ」と叫んだまま立ちすくんだ。 看護婦たちは千恵子たちを見て、「あら、あなたたちも来たの」と言った。師範女子か一高女の生徒と間違えているようだったが、「あれ、あんた、チーちゃんじゃないの」と浩子おばさんがじっと千恵子を見つめた。 「浩おばちゃん‥‥‥」と言いながら、千恵子はゆっくりと近づいて行った。 叔母の顔を見た途端に、涙が知らずに流れて来た。去年の末、敏美が列車事故で亡くなった時、南風原の国民学校の病室で会って以来だった。 浩子おばさんは負傷兵の治療をしていたが、他の看護婦に代わってもらって千恵子の側にやって来た。 「チーちゃん、どうして、ここにいるの」と浩子おばさんは信じられないといった顔をしていた。千恵子は思わず、浩子おばさんに抱き着いた。 千恵子は今までのいきさつを簡単に説明した。そうだったのと浩子おばさんは何度もうなづきながら話を聞いていた。 「そう、みんなと一緒に民間の人たちの治療をしているの。チーちゃん、いつの間にか、立派な看護婦になったのねえ」 「そんな、立派なんかじゃありません。看護婦として当然の事です」 「そうね。看護婦として当然の事だけど、危険を顧みず、そんな事はなかなかできないものよ。立派な事だわ。あたしたちもね、民間の人たちの事は心配してたの。でも、陸軍病院に所属している限り、それはなかなかできないの。時には内緒で看てやってはいるんだけどね。もう陸軍病院にも薬品はあまりないんだけど、包帯とかガーゼ、脱脂綿くらいなら南風原から運んで来たから、まだあるわ。上原婦長さんと相談して、できるだけの協力はするわよ」 浩子おばさんは上原婦長を紹介してくれた。背が高くて、美人で優しそうな婦長さんだった。浩子おばさんから千恵子たちのやっている事を聞いて、上原婦長も感激してくれた。 「わかったわ。頑張ってね」と上原婦長は笑いながら千恵子の肩をたたいた。 上原婦長に見つめられて、何が何でもやらなくてはならないという使命感が千恵子の胸の中に燃えて来ていた。 千恵子は浩子おばさんから姉の事も聞いた。第三外科で元気にやっているという。そして、急に曇った顔付きになって、「康ちゃんなんだけどね」と言った。弟の康栄の事を何か知っているのだろうかと千恵子は浩子おばさんの言葉を待った。 「康ちゃん、首里で怪我をして南風原に運ばれて来たのよ」 「えっ」と千恵子は自分の耳を疑った。弟が怪我をしたなんて信じたくはなかった。 「先月の初め頃だったわ。一中の 千恵子は首を振った。 「足は大丈夫なの」と千恵子は聞いた。 「ええ、足は大丈夫よ。胸の傷もそれほど深くはないから一人で歩けるんだけど、土地勘がないからねえ。でも、こんな所でチーちゃんとばったり会えたんだから、きっと、康ちゃんも無事よ。どこかで会えるわよ」 怪我をしながら戦場をさまよっている弟の姿を思い浮かべながら、無事でいる事を千恵子は必死になって祈った。
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波平