酔雲庵

陰の流れ

井野酔雲

創作ノート



戦国時代の医学




  • 日常生活 
公家‥‥ 烏帽子、素襖、長袴→肩衣、半袴、礼式には大紋
武士‥‥ 素襖、礼式には狩衣
民間‥‥ 筒袖及び巻袖の丈の短い労働着に袴、後に烏帽子は被らなくなり、武士にならって、月代を剃り髷を露出するようになる。礼式には素襖。
女子‥‥ 礼式には、袿(うちぎ)に小袖、緋袴。腰巻。
外出には市女笠を使用し、これを使用しない時は、上着を頭から被る。
野菜‥‥ 今日とほとんど同じ。
魚類‥‥ 鯉、鮒、鰻、どじょう、鮎、鯛、鮭、鱒、鮪、鰹、鯖、海老、蛤、蛸、等今日と同じ、すでに、刺身として食べた。
鳥獣類‥‥ 雉、雁、鶴、雲雀、鴨等。鹿、猪、狸、狐、鯨等。
犬を薬用として食す。
書院作り‥‥ 部屋を襖、障子、壁で仕切り、天井を張り、畳を敷く。

来客があれば、酒を勧めた。濁り酒が一般的。
肴としては、餅類、麺類、吸い物類が多い。その他、田楽、ちまき、赤飯など。
吸い物の内容は、松茸、鯨、豆腐、餅、鴨、葛、鯉、鯛、竹の子など。
汁類の内容は、狸、狐、鯨、雁、鷺、雲雀、雉、鶴、鴨、鯉、鮒、鱈、どじょう、松茸、その他、野菜類。
狸汁は冬に多い。鯨汁は1月〜3月。


  • 病気

咳病、風病、瘧病(おこりけ)(マラリヤ)、脚気、中風、雑熱、二禁、痔病、癪、虫病(虫気、虫腹、虫所労)、痢病(赤痢、霍乱、腹所労)、霍乱、疱瘡、三日病、風疹、横根(鼠蹊部リンパ腺炎)、黄疸、腰痛。

伝染性疾患‥‥‥ 瘧病、疱瘡、三日病(インフルエンザ)、赤痢、蟇疹。
外科疾患‥‥‥ 蚊触(皮膚炎)、瘡、癰(はれもの)、雑熱、腫物、痔病、傷風。
唐瘡、琉球瘡(梅毒)は1512年に我国に伝わる。

風気

参蘇飲、下限参蘇飲、参令橘紅湯、加減人参湯、加味以解散、加減茯苓散虫、阿伽陀薬、霍香湯、人参丁香散、貫衆湯、敗虫円、麻黄沢瀉湯、添味実脾湯、阿魏丹

瘧病

辟邪丹、五疳保童円、郁李仁湯、槐花密拈湯、鵲(かささぎ)丸、木香流気散腹痛 延胡索湯、加減茯苓補心湯

痢病

固腸丸、綱砂丸、青香散、丁香散、縮砂麺姜湯、犀角円

痔病

加減羽痔湯、渭皮円、収金膏、加味九宝飲

吐血

蔘苓枕下散、加減人参湯

下血

加味帰調中湯

雑熱

退毒散

眼病

竜脳散、加減還晴丸

中風

白芭精気散

救急薬

蘇合円、牛黄円、潤体円、妙好円、鎮心丹、至宝丹

所労

谷用丸、人参木香湯、清脾湯、耆婆万病円、益損湯、半夏飲、丁沈円、長命丸、揚梅煎


  • 病気の事は、一般に、わずらい、もうき、と呼んだ。
  • 死穢を忌み、家の者が死ぬ前に、家の外に出す風習があった。
  • 文明3年(1471年)、ハシカの流行により、死者多数でる。
  • 灸(やいとう)、蛭飼(雑熱の消炎排膿、中風の際の瀉血)は良く行われた。



 ◎山科言継(1507−1576)

  • 内蔵頭として、窮乏した朝廷の経済の費用調達に奔走した。一方、自ら医術を会得し、公家、僧侶をはじめ多くの庶民等の治療に当たった。

  • 言継の妻、永禄9年(1566)7月より8月にかけて、瘧病に罹る。

  • 言継の次女、天文22年(1553)9月22日、阿子、茸中毒に罹って死す。唐人医師蒼嵐の治療を受ける。

  • 山科言経(1543−1611)、妻の実家は冷泉為満。天正13年(1585)、勅勘を蒙り、本願寺光佐の斡旋の元に、堺明王院を一時の仮住まいとし、同年9月、本願寺興正院佐超を頼って、摂津中島に移った。


  • 言継が取引した薬屋‥‥小山新四郎、片岡八文字屋
  • 言継が使用した薬
感冒、気管支炎 仲和散、参蘇散、香蘇散、人参敗毒散
疱瘡、麻疹、水痘 升麻葛根湯、惺々散、人参敗毒散
胃腸病 調中散、人参丁香散、香需散
霍乱 香需散、五苓散
脚気 香需散、独活寄生湯、じゃこう
腹痛 人参丁香散、香需散、麝香丸
瘧病 参蘇飲、七宝散、張子草菓飲、人参丁香散
虫気 人参丁香散、三光丸、麝香丸
眼病 五霊膏
火傷、打撲、内出血 愛洲薬
婦人病 内炎散、愛洲薬
尿道病気 五淋散
養生薬 人参丁香散、養気湯、不換金正気散


  • 薬を調整するために必要な道具

薬盤、薬剪、薬研、薬臼、薬篩、薬銚、沙鉢、雷槌。
包帯の代わりに、紙を用いた。


  • 内科
局方医学と道三流医学と傷寒論医学の三者が併立。
  • 外科

時宗の徒の活躍。
問薬(気付け薬)‥‥見性散、神蘇散、
血縛(止血薬)‥‥コウヘキ湯

  • 眼科
海東郡馬島(愛知県海部郡大治村)薬師寺蔵南坊が有名。


  • 田代三喜(1465-1537)下総国古河に住む。曲直瀬道三の師。
  • 曲直瀬道三(1507-1594)
  • 阿佐井野宗瑞(−1531)野遠屋と号す。『医書大全』全10冊を翻刻する。
  • 永田徳本(1513-1630)一服十八文。

  • ルイス・デ・アルメイダ(1525-1584、ポルトガル人)

1555年9月、豊後国府内に育児院を建てる。
1557年1月、  〃   病院を建てる。





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