酔雲庵


戦国草津温泉記・湯本善太夫

(2007年改訂版)

井野酔雲

創作ノート







上野の国の信仰




・赤城山 三所明神として大沼(千手観音)、小沼(虚空蔵菩薩)、地蔵岳(地蔵菩薩)
地蔵岳には山頂に地蔵堂、賽の河原、血の池などあり。
大洞赤城神社、三夜沢赤城神社、二之宮赤城神社。
小沼の東岸の山上に虚空蔵堂あり。黒保根村上田沢の医光寺。
・榛名山 僧坊三千百余と言われ、御師の活躍は関東、東北、中部地方にまで及ぶ。地蔵信仰と結び、死霊の帰る山として信仰されていた。
黒髪山(相馬山)は四月八日に山麓周辺の村から一村をあげて登拝したが、御嶽教と結び付いている。山始め(3月15日)、山仕舞い(10月15日)。山頂に黒神寺社の奥宮あり、広馬場に里宮あり。
榛名神社は満行宮といわれ、本地は古くは十一面観音、中世以降は勝軍地蔵。神宮寺は巌殿寺。江戸時代には江戸の東叡山寛永寺の配下になり、天保年間には83の宿坊あり。明治元年『寺社分離令』により榛名寺社となる。水沢山(浅間山)も信仰の山。
榛名湖は水神として信仰され、5月5日には沼神祭りが行なわれた。
・妙義山 波古曾神。白雲山高顕院石塔寺があり、神名も妙義大権現と称す。
中之岳神社は妙義神社の奥の院。戦国時代に修験者加藤長清が中興の祖となり、天狗信仰の影響あり。
金鶏山は山麓の御岳神社が奥の宮で、妙義町菅原の菅原神社が里宮。
・武尊山 古くは不動明王を祀る。
・子持山 5月1日山開き。
・稲含山 本地は弥勒菩薩。貫前神社と深い関係あり。
・草津白根山 白根明神、小白根明神。
草津講は薬師をお参り入浴した。
・浅間山 別当鎌原延命寺。
・諏訪信仰 六合村赤岩、嬬恋村芦生田。
・熊野信仰 上信国境の長倉山熊野大権現は牛王札を配布。高崎市赤坂の高崎神社も熊野神社で、県内の熊野信仰の一拠点となっていた。
群馬郡西国分の熊野神社は県内でも古く、大蔵坊という修験が祀っていた。大那智明神、小那智明神あり。
・観音信仰 白岩山長谷寺(天台宗寺門派)、五徳山水沢寺(天台宗)
馬頭観音は長野県東筑魔郡本城村西条の富蔵の観音寺。
・薬師信仰 日向見薬師は1537年、折田から現在地に移る。
 ・伊香保温泉 医王寺、薬師堂、温泉明神(三社明神)
・不動信仰 赤城村宮田不動尊、松井田千手山の不動寺護摩堂、
南牧村黒滝山不動寺(黄檗宗)は古くは関東の高野山といわれた。
勢多郡粕川村室沢の滝沢不動
・虚空蔵信仰 利根郡川場村立岩の立岩院(天台修験)は裏手の虚空蔵山山頂の虚空蔵堂の別当。
前橋市東片貝の片貝神社の虚空蔵様の別当西片貝玉蔵院。
・弥勒信仰 迦葉山弥勒寺。
・摩利支天信仰 倉渕村権田、佐波郡赤堀村香林中組






吾妻郡の社寺




中之条町 伊勢宮 1589年、北条氏直家臣、猪股能登守が主命を奉じて中庄杉木に創立、1614年、現在地に移る。伊勢山田の御師三日市太夫次郎の奉幣社。神主、浦野氏。
熊野神社 現、稲裏神社。天狗宮、諏訪宮、稲荷宮、神明宮あり。
吾嬬神社 吾妻大明神。吾嬬山頂に奥宮あり。本山派修験。神主、高山氏。
沢渡神社 元、湯善神社。飯綱宮、十二神宮、大峯宮、諏訪宮、山王宮あり。
親都神社 神主、高山氏。
熊野神社 蟻川。愛宕宮、稲荷宮、羽山宮、鹿島宮、天神宮あり。高山氏。
白山神社 大道日陰。富沢氏。
東村 甲波宿弥神社 元、宿弥大明神、白井城主の信仰厚い。神主、海野氏。
榛名神社 岡崎、榛名大明神、1615年創建。神主、海野氏。
白鳥神社 奥田字宮貝。元、白頭明神、白頭明神は牧場守護の神で、牛馬の祖神。神主、高山氏。
吾妻町 大宮巌鼓神社 元、稲包大明神。1200年頃には創建されていた。神主、高山氏。
稲荷神社 原町大字稲荷城甲、別当、顕徳寺。神主、高山氏。
川戸神社 首宮大明神、別当、潜龍院。神主、高山氏。
浅間神社 川戸字七沢。元、現在地の東部に位置する浅間山に鎮座。
1307年、岩櫃城主吾妻太郎行光が甲斐より勧請。富士浅間宮。
1558年、岩櫃城代、海野長門守が再興する。別当、金蔵院。
白山神社 岩井字松ノ木。斎藤憲行、創建。別当、真言宗長福寺。
鳥頭神社 三島字唐堀。1660年以後、下山潜龍院が別当となる。
鳥頭神社 矢倉字宮の脇。境内に神代杉。
浅間神社 萩生字宮下。1488年、駿河国富士山から勧請。
長野原町 諏訪神社
諏訪神社 現、羽根尾神社。
諏訪神社 大津。現、神明神社。
諏訪神社 狩宿。飯綱社。
王城山神社 元、諏訪神社。王城山上に奥宮。別当、大乗院。
薬師堂 現、川原湯神社。1520年創立。
嬬恋村 白根神社 今井。現、諏訪神社に合祀。
白山神社 今井。現、諏訪神社に合祀。
諏訪神社 今井。別当、吉本院。
諏訪神社 現、鎌原神社。別当、天台宗浅間山延命寺。
熊野神社 門貝。
飯綱社 芦生田。
諏訪神社 干俣。
吾妻山神社 田代。四阿山頂に奥の院。
草津町 白根神社 白根明神。神主、浦野氏。末社 小倉、引沼。
諏訪神社 前口。
六合村 諏訪神社 諏訪原、小雨、赤岩字中野、日影字田畑。
赤城神社 品木、生須字東平村。
熊野神社 鍛冶谷戸。
高山村 中山神社 中野明神。



中之条町 長岡山安養院西見寺 浄土宗。1458年、浄誉西現創建。
宝満山白雲院林昌寺 伊勢町。曹洞宗。本尊、釈迦如来。永禄7年、岩櫃城代矢沢頼綱再建する。
文禄2年、河原町より長岡に移す。寛永元年、現在地に移る。
仏体山宗福寺 市城。曹洞宗。本尊、釈迦如来。室町時代は清明山十王庵という小堂であったが、戦国時代、僧大空が開基建立し清明山十王寺と称す。その後、戦乱のため堂宇は破壊されたが、寛永9年、双林寺13世大通貫徹が地を移して再建し、仏体山宗福寺と号した。
曹洞宗。本尊、正観音。
大岩不動堂 上沢渡。曹洞宗。
清瀧寺 岩本。天台宗。本尊、不動明王。
東村 弥陀山正泉寺 新巻。真言宗豊山派。本尊、不動明王。創建時、北箱島村村上にあり、弥陀山観音寺と称し、慶雲律師を開基として郡の巨刹であった。戦国時代天文年中、平井の管領上杉憲政が陣を当寺院に敷き、北条氏と戦ったが敗れる。この時、兵火にかかって全焼した。住持は寺を小泉村に移し、弥陀山小泉寺と称し再建した。その後、現在地に移り、正泉寺と称する。
吾妻町 普光山善導寺 原町字紺屋町。浄土宗。1362年、岩櫃城主斎藤越前守行弘の家老、川戸村内出の城主秋間備前守泰倫が筑紫の善導寺よりこの地に仏法を広めるために来た道覚上人、識阿上人、円光上人の三高僧のうち識阿上人を開山として田辺に創建し無量山善導寺と号した。田辺にある事約180年、その間、本郡浄土宗の教化中心たるのみならず、武蔵鵜ノ木の光明寺と共に東国に於ける西山派の檀林寺(学問寺)として教学修行の一大道場となり、幾多の名僧善知識を育てると共に、南は和泉、紀伊から北は奥州まで120個寺の末寺を有した。
秋間氏滅亡後、天文10年第9世長湛上人の時、岩櫃城主斎藤越前守の保護により、寺を郷原霧(切)沢へ移す。1617年、現在地に移る。
金剛院 原町。天台宗寺門派、本尊、大聖不動明王。
光明寺 萩生字田谷。真言宗醍醐派修験。当時、正覚院。元禄13年、光明寺と改める。
本正院 本宿鳩の湯。天台宗寺門派。本尊、不動明王、薬師瑠璃光如来、神変大菩薩。寛正5年創立、その後しばらく衰退するが、文亀年間に中興される。
三光院 大柏木字宮本。天台宗寺門派。現、下新井の岩本院。
長野原町 雲林寺 曹洞宗。本尊、釈迦如来。永禄2年、海野長門守開基。当初は東貝瀬にあり。程なく寺院焼失のため、現地に再建される。
龍燈山常林寺 応桑。曹洞宗。本尊、釈迦如来。享禄年間、鎌原大和守正重が創建。
熊本院 応桑。真言宗醍醐派。本尊、不動明王。1747年創建、明治11年再興され、初めて熊本院と改称。
嬬恋村 延命院 弘治年間、江戸東叡山寛永寺末寺となる。天和元年廃寺。
草津町 光泉寺 真言宗豊山派。本尊、千手観音。
六合村 岩景山龍沢寺 曹洞宗。本尊、正観音。




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